超 自 省 録

時事、日中関係、社会問題について。会社員、オタク、二ヶ国語をしゃべるやつが、書きます。

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褒貶のダイナミックレンジ

 何日か前に、「小泉総理が舞台信長を鑑賞」というテレビニュースを見た人は多いだろう。おれも見た。
 画面は総理が劇場から出てきたところで、まだ顔が白塗りのままの主役俳優と相対しタイミングが悪そうにあいさつしあう。しばらくすると囲んだ報道陣から質問が飛んで、「総理、今の政局に関して何かヒントを得られましたか。」と。するとほんの一瞬間があって、「んー、いつの時代も、戦いは終わらないねー」と首相言い放った。

 またー、簡潔によさげなことをいいやがった、と内心即席の回答に拍手したものだ。が、何秒かするとなんか違うなと、ちょっとした違和感が残った。考えてみれば、「政局に関するヒントは?」と聞かれているのに、「いつの時代も戦は終わらない」と答えている。答えになってない。しかしまあ、うまいことを言ったんだからいいだろう、ということになった。

 して、今日、NHKのブロードウェイの歴史特集(毎晩12時、6夜連続)を見おわって、実家の懸垂棒にぶら下がっているときに、ふとまた思い出した。そしてハッと「あれは事前に用意したセリフだ」と気が付いた。だいたい総理が大好きな信長を見に行くのだから、報道陣も飛びつくに決まっている。それで「いつの時代も、戦いは終わらないねー」というのを用意しておいた。想定質問は、「総理、ご感想は?」である。
 まったくくさい芝居だ。これだけのことに三日がかりで気付いた。

 ここ数日の生活といえば、映画や外食や内食(=つまみ食い)に専念している。おかんが食物を豊富に用意しているせいで、冷蔵庫を開けては「なにこれ!?」と文句をいいつつもつまんで食べている。これまたおかんが薄型テレビ買ったせいで、つないであげたり、レビューと称してDVDやらテレビ番組を見ている。ここ埼玉北部でも地上波デジタル放送が始まっていて、これがえらく画質がいい。DVD以上だ。まさにハイビジョンの名に違わない。観たり食べたりと、療養のような生活だ。

 本題に入ると、今日は褒貶のダイナミックレンジについて書きたい。
 オーディオの世界でDynamic Rangeといえば、最大音量と最小音量の幅であり、オーディオ機器の性能をあらわす一つの指標である。もちろん表現できる音量の幅は広い方がよくて、レンジの広い方が性能がいいことになる。
 人間の世界でも、同じだ。我々の周りにいるいつも他人を誉めてばかりいる人は、ダイナミックレンジが狭く性能が悪い。そういう人から誉められても、さほどうれしくはないだろう。一方で、いつもは貶してばっかりいる人から誉められたりすると、これはたいそう嬉しい。本当に誉めるに値するすごいことを自分はしたのだなあという気になる。
 概して人は、自身の褒貶レンジを狭くしてしまいがちではないだろうか、他者に対して甘めの評価を下すことによって。本や、映画や、なにかを5段階評価しようと決心して、結局つけたのは3と4と5。それならば、最初に5ものレンジを設けた意味はなく、3段階評価で十分だったのではないか。
 他者に辛口の評価を下すことで自分に生じるリスクを恐れるあまり、我々は公の場では特に、他人に対して誉め言葉しか言わない。下した評価が正規分布ではなく、対数正規分布のように寄っちゃっている。そうすると、もしかしたら「いい人」という評判は得られるかもしれないが、我々自身の格付け機関としての価値は失われてしまう。「あいつの誉め言葉は宛てにならん」と。
 必要なのは、ダイナミックレンジいっぱいに散りばめること。およその場合、正規分布こそが自然なのだから。「全員が70点以上でした」ということはありえない。あったとしたら100点満点は形骸化され、偏差値の導入が必要だ。やさしさという名のもとに、我々が日常で吐くセリフどれほどが言葉本来のダイナミックレンジを形骸化させているのだろうか。B'zの歌詞の逆で、「たまにゃ海も人も山もけなせよ!」である。 そうして始めて我々は本来のダイナミックレンジを取り戻し、そしてフェアな人となるだろう。

 ここからは私事になる。ところで、僕の性格はみんなとは違っていて、ほうて置いてしまうとなにもかもけなしてしまう。人生のある段階でこれに気付いて、つとめて誉め言葉を言うようにしているが、それでも周囲からは「あまり他人のことを誉めない」もしくは「誉め方が胡散臭い」と認識されているはずだ。
 どうしてかというと、やさしさが足りないということもあろうが、根本的には偽善へ怒り感じるのだと思う。たいしてすごくもないことをいかにもすごそうに誉めているやつをみると怒り心頭になるのだ。「おめそれちげーだろ!」と。笑

 まあ、ぼくも、大方の偽善的な世の中のみなさんも、つとめてFAIRな評価が下せるようになりましょう。笑。それが自然で、本来の姿であり、美しい姿なのだから。


 
  1. 2006/01/04(水) 11:16:27|
  2. 雑感、随筆
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