超 自 省 録

時事、日中関係、社会問題について。会社員、オタク、二ヶ国語をしゃべるやつが、書きます。

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群から抜きん出るということ

考えてみれば、大数の法則というのは実に恐ろしい。ほとんど起こらないような現象も、無限回近く試行を繰り返せば一定回数起きてしまう。

 卑近な話をしてみると、毎年冬に大雪が降ったり、夏に気温が37度くらいになったりすると、日本全国で死者が数人から数十人出てしまう。これをニュースで見て「おかしいな?そんなことで人間って死ぬもんなの?」と不思議に思う人はいないのだろうか。僕は中学生くらいのときいつも不思議に思っていた。ずっと考えて出した結論が「まあ、一億人もいれば、そんなんことで死ぬやつも出てくるだろうな」というもの。して、先日の飲み会に行く途中でこの話をしていたら、後輩がなかなか面白いなことを言ってくれた。「そりゃそうですよ。三億人もいれば猫を電子レンジに入れてチンする人だって出てきますもん!」と。
 
 なるほど。
 思えば、児童虐待とか、いわゆる迷惑メールもそういうことかもしれない。普通に考えれば、自分の子供を死に追いやることも、「24才OLです体だけの関係持ちませんか費用は私が持ちます」というメールに引っかかることも、本来文字通りありえないはずなのに、実際には発生しているのである。母集団の大きささえ十分にあれば、いかなる不可能な現象も可能になるということだろうか。

 つまるところ、いささか不謹慎な呼び方になるのだが、統計的観点から考えればこうしたとんでもない「はずれ値」のような人は世の中に必ずいる。彼らの偏差値は、いったいいくらなになるのだろうか。偏差値は本来、なにもレベルの高さという意味はなく、平均値からの離れ具合・はずれ具合そのものを示す指標である。だから本来偏差値30も偏差値70も、抜群という意味では同じようなものである。

 本題に戻って、具体的な話を続けよう。日本人一億人のうち、10人が37℃の猛暑で死んだとしたら、彼らの偏差値はいくらなのだろうか。おおよそ一千万分の一なので、正規分布でいうと平均から標準偏差5.2個分はずれたところにいることが、ExcelのNORMINV関数から分かる。ここから偏差値の作り方だが、この5.2に10をかけてさらに50をたすと、102となる。 これが、彼らの偏差値なのだ。また、アメリカ人3億人のなかに猫を電子レンジで乾かした人が1人だけいたとしたら、かの人のは標準偏差5.9個分外れていて、偏差値は同様に計算して109だということになる。意外なことに、両者の偏差値がさほど変わらないのは、正規分布が端っこのほうでものすごい勢いで収束しているからであろう。

ところで、この話をしたのには訳がある。

 僕の周りには、僕自身をはじめ、妙に自負を持っている学生が多い(特に東大の学生)。自負とか自信はいいことで、人間の原動力のもっとも強い形の一つでもあるのだが、時には客観的に自らのポジションを把握することも重要だろう。では客観的に見てみると、多くの東大生の思い上がりの源泉の大部分を構成している、受験でいう偏差値70、80とは、いかほどのものであったのかと。
 下の表を見てみると、偏差値70は100人に1人以上いるし、偏差値80でもたかだか1000人に1人の存在であることがわかる。猛暑で死ぬ1000万人に1人には遠く及ばない。珍しくともなんともないのだ。ほとんどの東大生は、偏差値70前後であったから、高校に2~3人はいたようなやつだということになる。感覚的にも多分これは合ってるはずだ。

sd.png



ちなみ上の表の読み方はこうだ。最初の列の数字はあるものの平均からのはずれ具合を表していて、すぐ左はその感覚的な説明である。

たとえば「0.1」なら10個に1個という意味で、中学のクラスなら3人くらいはいたようなやつ、という意味。「1E-06」なら10の6乗に一個、100万人に一人、鳥取県に1人くらいはいるかな?というくらいの意味である。

表の左から二列目の数字は、そのあるものが標準正規分布に従った場合にとるべき値で、三列目はそのものがとるべき偏差値である。三列目は二列目に10をかけてさらに50を足せば得られる。

「世界に一つだけの花」ならば、偏差値はいくらくらいになるだろうか。正規分布のような山形の分布の場合、一つだけのユニークな存在は、左端か右端のどちらかということになる。すると、世界に一つだけの花はなにかの指標において地球人のなかでもっとも平均値から離れていると人だと解釈できて、おおよそ10億分の1~100億分の1の存在である。すると、三国無双と天下無双の間くらいで、偏差値約110ということになる。

もちろん、軸のきり方によってはユニークな存在になるのは簡単だ。比べる期間や指標の選び方を細工すれば自分を一位にすることはたやすい。たとえば、空を飛べないキャラのなかで一番強いのはセルでも孫悟空でもなく、ヤジロベーだ。そんな限定の仕方が卑怯だというのなら、なんなら指標自体を変えて、足の臭さを比べたっていい。はたまた所有財産をすべて寄付してしまえばその瞬間から貧乏人1位タイになることだってできる。「すべての人は世界に一つだけの花である」というテーゼを、僕はそういう意味だと解釈している。

 だが、指標はなんでもいいわけではない。希少性、等価交換といった制限から・・・悲しいことかな、市場社会の中で真に意味のある指標において、群から抜きん出たたった一つの存在になることがどれほど大変なことか。それはみんなよくお分かりのはずだ。人生の苦闘の多くが、この市場経済における大数の法則との苦闘だといっても過言ではないと思う。いうなれば、人間が多すぎることによる不幸、といえるかもしれない。しかしそれはとりもなおさず、人類繁栄の源でなのだから、どうしようもないことでもある。 かくして、どうしようもなく、我々は大数の中に埋もれるか、抜きん出ようともがきあがくかのどちらかを、選ぶしかなくなったのである。
  1. 2006/09/30(土) 17:09:07|
  2. 雑感、随筆
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

面白い~!

ちょー君すごいこと考えるんだねー!
これで一冊本書いたらきっと売れるよ(笑)
  1. 2006/10/01(日) 21:42:09 |
  2. URL |
  3. ちょこ #4JcWZNxE
  4. [ 編集 ]

そうですか? 実は僕もそう思っているんですよー 笑

なんつって


褒めてくれて、ありがとう。
  1. 2006/10/01(日) 22:39:06 |
  2. URL |
  3. 超旅行人 #mQop/nM.
  4. [ 編集 ]

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