超 自 省 録

時事、日中関係、社会問題について。会社員、オタク、二ヶ国語をしゃべるやつが、書きます。

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SoftBank Rocks ! ~日本ADSL神話~

 インターネットの昔話をしようか。
 ぼくが高校生のごろ(2000年前後)、NTTには「テレホーダイ」というサービスがあった。これはなにかというと、毎月1800円だか2800円だかをNTTに払えば、夜中だけインターネットにつなぎ放題になるというサービスだ。今思うと当時のインターネット環境は不思議だった。ネットしている間はずっと電話代が課金されるし、電話も同時に使えない。速度は恐ろしく遅かったうえ、接続するときにモデムカードからあの困った猫のような効果音が鳴った。つながるまで数十秒を要し、さらにいったんつながってもよく切れたりしたものだ。

 それでも僕は夜な夜なインターネットに自分のパソコンをつなぎ、夜中か朝方近くまで起きていた。毎日毎日なにをしていたんだろう? 普通にネットサーフィンをしていたこともあれば、ドメインを探したり、AOKで対戦したり、地元で仕入れた古本や秋葉で買ったPCパーツを、ヤフオクで転売しておこづかいを儲けたりもした。それからAngelfireやらi-driveやらにIriaを使ってアクセスしたりもしたなあ(この辺がわかるマニアはいるか!?)。裏では同時にFTPクライアントを走らせどっか個人サーバーと(Up対Downは3対1)という訳わからんことをやっていた。

 睡眠不足なので、次の日の授業は当然爆睡が多くなった。今思えば学業もおろそかになった。家に帰ってからは戦利品をチェックし、偽装解除したり、結合したりするのに精を出した。MP3をエンコードしたり、自分のウェブサイトやら、ネット上の人間関係とメールを書いたりもしたな。夜の23時になると、出航である。そう、テレホーダイは23時から翌8時までだった。いまでもよく覚えているし、一生忘れないだろう。僕はある意味、職業的インターネット漁師だった。

 このような昼夜逆転生活を自ら選んだことは間違いのない事実だが、実は、これはNTTのせいだという理屈も、一応通ることには通る。

 当時すでにADSLというものが出始めていて、ブロードバンド時代の幕が開けつつあった。もしADSLに加入できたら、ぼくの生活はずっと楽になっていただろう。夜の大半を起きている必要もないし、休日朝8時きっかりに起きて接続を切る必要もない。ネットは夕方にやればよかったのである。
 しかし不幸なことに、埼玉の片田舎にADSLはなかなか来なかった。記憶のある方もいるかもしれないが、当時ネット上では一種の「選民現象」が始まっていた。すなわちすでに安くて快適なブロードバンドの恩恵にあずかれる一部の人間と、まだ高くて不便なナロー・バンドを使わなければいけない他の人間に分かれはじめていたのだ。基本的にはブロードバンドは人口密集地から徐々に開通していったのだが、地域によっては鉄道の線路を隔てた向こう側が開通でき、こっちはできないということがざらにあった。ネット上の掲示板では
「OXOX地区がADSL開通したらしいよ!」
「うちはまだか!」
「あ~~~はやく来てほしい、NTTは何やっているんだ」
「ISDNさえなければ・・・・」
という書き込みがあふれ、人々は苦痛に耐えながら救世主を待っているがごとくだった。
 
 どうして初期のADSLはなぜ、なかなか普及しなかったのだろうか?それは技術的、社会的原因が複雑に絡み合っていたからだが、一言で言うと








NTTのボケナスがADSLの普及を遅らせた
 (関係者の方、反省しろ!)


ということになる。
 具体的にNTTは二つの行動をとった。
1.第一に、NTTは、ADSLではなくINS64(一般に言うISDN)というサービスを推進していた。ADSLとISDNは技術的に共存できず、規格争いとなった。鬼畜NTTは当然自社規格のISDNをスタンダードにしたかったのだが、この争いは今日のHD-DVD対BD、昔日のVHS対βと違う点が一つある。それはISDNは性能面から言って、ADSLと比べて100倍くそだったということである。速度はADSLの100分の1以下だったし、料金も高かった。たとえて言うなら、馬糞とコンビーフくらいの差である。ドキュソNTTは馬糞を缶詰にして、消費者に広めようとしたのである。「味の違いわからんだろ」とでも思ったのだろうか。

2.消費者にとって不幸なことに、馬糞企業NTTはなんと、独占企業だった。電話線をすべて握っていたのである。だから規格争いでは負けるどころか、お上のごとく君臨したのだ。当初、他の会社がADSLサービスを展開したくても、NTTの電話交換局で「設置作業」をする必要があり、そして当然のごとくNTTの許可が必要だった。するとその結果、ADSLをしぶしぶ意に反して牛歩のごとく自社でも展開するNTTと、それよりもさらに遅い速度でしか許可を与えてもらえない他のADSL業者とが、ADSLサービスを供給することになった。

 日本でADSLの普及が遅れたのは当然であろう。全国のネットユーザーがまだかまだかと、コンビーフ缶を首を長くして待っていたとしても、しばらくの間、馬糞を食べるしかなかったのである。



神様・・・・はやく・・・はやく・・・


ADSLを・・・




 鳥取県に住むある白血病の少年がそう唱え、ADSLを心待ちにするネットユーザーが日本列島でちょうど300万人に達した夜、彗星が夜空を切り裂き、白馬に乗った救世主が現れた!その男は2m近い長身、筋骨隆々で、髪の毛はサイヤ人のように豊かだった。男の名は 孫 正義 という。


Yahoo! BBを率いてやってきた孫正義がとった行動は三つだった。
1.まず総務省に抗議しよう。
それ以前にもeアクセスなどのADSL業者が、「NTTがばかでまぬけのくせに不当競争をする」と総務省に提訴していた。とうとうNTTに対して行政指導が入った。

2.価格競争をしよう。
そう言って孫正義は料金を下げた。他社が追随した。

3.とりあえず大風呂敷を広げよう。
そう言って孫正義は自軍の人員を拡充し、街頭でADSLモデムをタダで配布させた。この光景はみなさん記憶に新しい通りである。 
 しかし広げた風呂敷が大きすぎて、さすがのYahoo BB!軍内にも混乱が見られた。それでも、情勢をみたNTTは焦りだして、フレッツ!とかぬかしつつ自社でもADSLサービスに本腰を入れはじめた。



 そして、ADSLが普及し、神話の時代が終わりを迎え、日本はブロードバンドの時代に入った。


時は2006年。今のネット環境は快適すぎて、もうあのときのことの現実感が薄いほどだ。振りかえって見れば、ADSL暗黒時代は、経済的不均衡が調整される一時的な現象だったといえる。巨大独占企業が消費者のニーズを無視し、需要と供給の不一致が発生したが、市場メカニズムによって調整されたのである。
 しかし、その調整の過程を遅らせようとした既得権益者と、速めようと果敢にチャレンジした者がいる。あの数年間を高校生パソコンマニアの黄金期として過ごした自分としては、前者の愚行は許し難く、後者には感謝するばかりである。思えば日本のインターネット・インフラの発展を阻害したNTTは、万死に値する。ぼくの睡眠時間を奪っただけでなく、もしかすると、僕が超ウィザード級国際的ハッカーになる可能性をも低めたのではないか、と想像すると、今でもも怒りが収まらないことも、まあなくはない。


時に2006年。あのとき長身マッチョであった孫正義も、時の流れには抗えず、チビ禿げおじさんなり、次の挑戦をしようとしている。

 今回SoftBankが、値下げ競争というもっとも原始的だが有力な手段を使い、携帯電話業界における寡占体制をベルトラン競争に変えようとすることは、まぎれもなくすべての消費者に利益をもたらす挑戦である。これがもうひとつの神話となることを願おう。

寒梅は風雪に耐えてはじめて咲くという。小泉純一郎も、20年も郵政民営化を唱え続けたからこそ、最後に支持を得られたのだろう。孫正義の志が再び見えた今、賛同する者として加担する用意は、ある。




  1. 2006/10/24(火) 20:40:16|
  2. 雑感、随筆
  3. | トラックバック:2
  4. | コメント:5
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コメント

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  1. 2006/10/25(水) 01:07:40 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集 ]

とらばありがと!です。
いろいろ言われているけれど、
わたしも、すごい経営者だと思ってます。
もっと評価されていい気がします!
  1. 2006/10/26(木) 19:54:31 |
  2. URL |
  3. ひん #-
  4. [ 編集 ]

トラバありがとうございます!
いやー、テレホーダイ、懐かしい響き!!
あのつながりにくさと、遅さ。今となってはもう遠い昔のようですわ。。
自分もその頃は、偽装解除、結合やりまくってましたねぇ。
ジュゲムやら、猫やら、ラブマやら・・・。
これも最近ではあんまりですねー。
それ系のサイトももうあまり見なくなってしまいましたしー・・。
ソフトバンクの件でトラバいただいたのに、
それよりも違う内容にくいついてしまいました☆
  1. 2006/10/27(金) 00:32:21 |
  2. URL |
  3. makkton #-
  4. [ 編集 ]

トラックバックありがとうございます

Yahoo!BBのモデムばら撒き作戦が行われていた時期、あっちにもこっちにも、赤いのが目立ていたような・・・。
その結果は、タダで押し付けて返却はタダで持って行ってくれなかったり、開通がとにかく遅くて訴訟につながったりといろいろあったことも、事実ですよね。
こういうところ、ソフトバンクのやったことに対して、賛成は出来ないな。
安いだけでいいというサービスは品質低下を招きかねないので、適度なレベルで止めてもらえればいいと思います。
(価格競争だけでなく技術発展も忘れないで貰いたいです)
  1. 2006/10/27(金) 17:15:55 |
  2. URL |
  3. 狗神 #-
  4. [ 編集 ]

価格と品質、どっちをとる?

コメントがたくさんキター。ひゃっほーい。笑

今回ばかりは、自分の意見をいろんな人に伝えたかったというか、ある意味ちょっと押しつけたかったくらいなので、トラバをたくさん打ちました。笑。手作業で疲れました。

同感してくれた方、ありがとう。そして鋭い意見を書いてくれた狗神さん。お返事いたしましょう。

価格競争だけでなく品質も重要だというご意見は、至極もっともです。私も大賛成です。いまの日本では品質や安心感を重視する人が多くなってきました。特にに中高所得層がそうだと思います。
 一方で、価格が下がることによる恩恵は、経済的境遇にかかわらずすべての人に恩恵をもたらすという点は、やはり非常に重要だと思います。
 ひとつ例になりますが、たとえばダイエーの創業者中内 功さんは流通革命を起こし、食品・消費財の価格破壊をやりました。あれは相当程度、戦後の日本人の生活の豊さに寄与したと思います。貧しく、腹が空くような時代は、とにかく豊富にあることが最大の美徳でした。しかし今日2000年代に、若かりし日の中内 功がもう一度出現したとしたら、それは時代錯誤もいいところでしょう。飽食大国日本では、食品や消費財については高付加価値が求められる時代になりました。

 一方で通信はどうでしょうか。みなさん、もう満ち足りていると思いますか。ビジネス用とならいざ知らず、個人用では、大半の人が電話代を多かれ少なかれ気にしながら通話をしているのではないでしょうか。移動通信市場は、まだまだ黎明期だと思います。話したい時に、話したい人と、話したいだけ話せるようになれば、はじめて成熟市場だと思います。(話すを食べるに置き換えれば、現在の日本ですね。)このような「話しホーダイ」は原理的に決して不可能な話ではありません。むしろ通信は物質を消費しない分、消費財よりは実現しやすいかもしれません。だからそれまでは、すこし質が悪かろうが(もちろん今回のソフトバンクに混乱がないことを期待していますが)、安さ、すなわち量的に豊富であることは正義だと思います。


  1. 2006/10/27(金) 21:50:04 |
  2. URL |
  3. 超旅行人 #mQop/nM.
  4. [ 編集 ]

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結局、予想外割は周りにソフトバンクユーザがいるかどうかしだい?

そんな感じですよね? だって、他社との通話は無料通話分がなくなったから高くなるし。 メールは変わらないし。 だったら俺には無縁ですね。 仲がいい人にソフトバンク圧倒的に少ないから。 あとは明日の追加発表と、スーパーボーナスの詳細しだいか。 人気blogランキン
  1. 2006/10/26(木) 16:26:40 |
  2. なかなかいい度胸じゃないか!

内藤花苗

内藤花苗特集のおしらせです。
  1. 2007/03/23(金) 01:21:27 |
  2. 内藤花苗
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