超 自 省 録

時事、日中関係、社会問題について。会社員、オタク、二ヶ国語をしゃべるやつが、書きます。

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工業翻訳という因果な商売

「工業翻訳」という単語はもしかしたら僕の造語で、一般的に使われていない言葉なのかもしれない。意図としては、電化製品のマニュアルとか、工場の操作手順書とかを訳すことである。そのほかにも、契約書とか専門文書とか、そういった商業、輸出入にかかわる翻訳までも含むかもしれない。

 大学時代、ぼくはいろんなアルバイト(と言いつつ数えてみれば4種類。)をしてきたが、一番稼いだのはこの工業翻訳だ。感覚的に70~80万円くらいもらったんじゃないかなー。他のものといえば、塾講師が40~50万、テレホン・アポインターが20万円、キャバクラのボーイが6万円である。家庭教師は、ついぞやる縁がなかった。
翻訳というと、なんだかハイソなアルバイトのイメージがあるかもしれない。しかし、実態はかなりかけ離れている。ことに工業翻訳に関しては、ずばりひとことでいうと、肉体労働である。違う言葉で具体的に言うと、時給に換算すれば高くないし(1000円~2000円が多い)うえ、ほとんど頭を使わない。さらに一人で辞書を片手に黙々と数十時間家で作業するため、実にDepressingで、「労働疎外ってのはきっとこのことだ!」と思うくらい楽しくないバイトだ。締め切りがきついと健康も害すし、普段の生活パターンもぶちこわす。RPGゲームにはまったことがある人は、あれのつまらないバージョンを延々と数十時間やってクリアすることを想像すれば分かりやすいと思う。居酒屋でバイトした方がよほど楽しくて、やりがいと人間との出会いがあると思う。

 たとえば電化製品のマニュアルの翻訳の場合、ボタンの名前やメーカー独自機能の名前を訳すのが一番難しい。そもそも訳語がないからだ。あほなことに、輸出される製品のボタンが実際どうプリントされているか、知らされないことがほとんどである。(このあたり、つまり仕事が仲介業者を二重に三重に通していたりするところも、この商売の不毛さと労働条件の劣悪さに繋がっていると思う。つまり本来の雇い主と翻訳引き受け人はお互い顔が見えないため、協力などしあえず、要求仕様も不合理なことがあったりし、結局金をもらう側=翻訳者の負担が大きい。この点はおそらくプログラマーやSEも同じではないか。)だから、マニュアルの翻訳といっても、おそらくついでに商品企画をすると同じようなことを要求されている。WEBサービスとかの翻訳も正にそうで、訳すことによってその国でのサービスを一から作るみたいな。非常に面倒くさく作業量が多いし、滅多に楽しくない。
工場の操作手順書や、生産者向け装置の輸出となると、これらの煩雑さに加えて、さらに専門辞書との格闘がある。船の減揺タンク(Anti-Rolling Tank)や化学工場の装置の仕事を受けたときは、実際に手がすれきれるまで分厚い中日工業辞典を引いた。
 なにが言いたいかというと、工業翻訳はきついし割に合わんからやめ解いた方がいいということだ。外国生活経験を生かして、翻訳をやってみたいと思ういわゆる「帰国子女」の大学生も多いかもしれないけど、君たちでも割に合わないと思う。まして「語学を勉強していつか翻訳で生計を!」と思う若者がいたとしたら、それは思慮浅いも良いとこだ。僕のような経歴の者が、この市場はつらいというのだから、信じて考え直してほしい。まあ、もっとも主に中国語を主に引き受けていたので、昨今の経済情勢のおかげで殺伐とした内容の仕事が多かったのかもしれないけど、概ね他の言語でもそんなもんだと思う。所詮お金をもらう仕事の多くは、工業翻訳である。

  文学作品の翻訳や外国語研究者の境遇がどうかは知らない。おそらくプロアーティストやスポーツ選手のような世界で、有名になれば楽だがそれまではつらいだろう。
 通訳の仕事も二三回まわってきたが、普段会わないような人と会い非常に楽しかったし時給も良かった。アルバイトで通訳できるチャンスがあるのなら、是非やるべきだと思う。一方で工業翻訳はぜひやめといた方がいい。
  1. 2006/11/27(月) 23:56:02|
  2. 雑感、随筆
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